理髪師「いらっしゃいませ」ハゲ「散髪して下さい」理髪師(どうしろと……!?)

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:2017/07/12(水) 21:36:17.235 ID:

第一話『ハゲを切る』

理髪師「いらっしゃいませ」

ハゲ「こんにちはー」

理髪師「……!?」

理髪師「えぇと……顔剃りですか? 顔剃りですよね? 顔剃りであってくれ!」

ハゲ「散髪して下さい」

理髪師(どうしろと……!?)


2:2017/07/12(水) 21:36:57.422 ID:

これだから
どしろうと は
3:2017/07/12(水) 21:38:17.848 ID:

!?
4:2017/07/12(水) 21:39:38.934 ID:

理髪師「こちらへどうぞ」

ハゲ「どっこいしょ」ドスッ

理髪師「ちょ、ちょっと頭を拝見……」

理髪師(うっわぁ~……完璧にハゲじゃん)

理髪師(産毛すら生えてない……ツルツルだ)

理髪師(まさに……不毛の大地!!!)

ハゲ「どうしましたか?」

5:2017/07/12(水) 21:42:18.684 ID:

理髪師(そうか……きっと散髪する気分だけでも味わいたいってことか?)

理髪師(だったら、ハサミで髪を切るフリをすれば満足してくれるはず……!)

チョキチョキ… チョキチョキ…

ハゲ「なにをしてるんです? 準備体操ですか?」

理髪師(エア切りじゃダメなのか……!)

理髪師(こうなったら……打つ手は一つ!)

理髪師「少々お待ち下さい」

ハゲ「はい」

6:2017/07/12(水) 21:45:32.292 ID:

一ヶ月後――

理髪師「お待たせしました」

ハゲ「待ちましたよ」

ハゲ「ところで、何をしていたんです?」

理髪師「お客様の不毛の大地のために……育毛剤を作ってきました!」ジャン!

ハゲ「ワオ!」

理髪師「じゃ、塗りまーす」ヌリヌリ…

ハゲ「んっ……」ピクンッ

7:2017/07/12(水) 21:46:26.930 ID:

ワンダフォウ!
8:2017/07/12(水) 21:48:32.995 ID:

ハゲ「……おや?」ニョキニョキ…

ハゲ「す、すごい! 髪が! 髪が生えてきた! 何年ぶりのことか!」フサフサ

理髪師「すごいでしょう?」

理髪師「みんなの髪を伸ばせばもっと床屋が儲かると思って、密かに育毛剤を研究してたんですよ」

理髪師「それをこの一ヶ月で死に物狂いで完成させたんです!」

ハゲ「へぇ~」フサフサ

理髪師(髪がないお客なら、髪を生やせばいい! ……これぞ逆転の発想だ!)

理髪師「さあお客さん! どんな髪型にしますか!?」

9:2017/07/12(水) 21:50:51.449 ID:

ハゲ「スキンヘッドにして下さい」フサフサ

理髪師「てめえ、ブッ殺すぞ!!!」

<終わり>

10:2017/07/12(水) 21:51:19.546 ID:

1ヶ月飲まず食わずで「待ちましたよ」とかハゲのくせに強そう
11:2017/07/12(水) 21:52:01.999 ID:

やるじゃん
13:2017/07/12(水) 21:54:25.582 ID:

第二話『オタクを切る』

理髪師「いらっしゃいませ」

オタク「ぶふっ、ぶひひひひ……」

理髪師(なんだこいつ……! 典型的なキモオタっ……!)

理髪師「どのようにします?」

オタク「モテる髪型にして下さい」

理髪師(どうしろと……!?)

14:2017/07/12(水) 21:57:45.139 ID:

理髪師(こいつをモテるようにできるのなら、世界から戦争をなくす方がまだ簡単ってもんだ!)

理髪師「……ん?」

理髪師「なんですか、その右手に持ってる人形は」

オタク「ぶひひひ、これはフィギュアだよぉ~」

理髪師「いつもフィギュアを持ち歩いてるんですか」

オタク「そうだよぉ~、ぶひひひ……」

15:2017/07/12(水) 22:00:39.043 ID:

理髪師「だったらまず、このフィギュアの首を切っちゃいましょう」

オタク「ホワイ!?」

理髪師「だって、こんなもん持ってる奴が、モテるわけないでしょう?」

オタク「あうう……ド正論……」

理髪師「このフィギュアと縁を切るか、モテるようになるか、選べ!」

オタク「うぐぐぐ……!」

オタク(ボクはどうすればいいんだ!?)

オタク(ボクは、ボクは、ボクは――!)

16:2017/07/12(水) 22:02:12.184 ID:

正論である
17:2017/07/12(水) 22:04:07.370 ID:

オタク「決めた!」

オタク「フィギュアは切らせない! 縁を切らない!」

オタク「このフィギュアを切らせるぐらいなら、ボクは死ぬ!」

理髪師「……見事」

オタク「あなた、まさか……ボクを試したのか?」

理髪師「ええ……そのまさかです」

理髪師「異性なんざ度外視して、キモオタ道……極めてみせよ!」

オタク「はいぃ~っ!」

18:2017/07/12(水) 22:07:19.058 ID:

一ヶ月後――

理髪師「あのオタク……あれでふっきれて、人気ユーチューバーになりやがって……!」

理髪師「キモイのが逆にウケて、女性視聴者からも人気があるとかなんとか……」

理髪師「俺もやってみようかな……ユーチューバー」

理髪師「ってわけで、映像にするためにおかしな髪型にしていいですか?」

客「やめろ!!!」

<終わり>

19:2017/07/12(水) 22:10:13.476 ID:

第三話『毛むくじゃらを切る』

毛むくじゃら「髪、切って下さい」モサッ

理髪師(うわっ……!)

理髪師(髪の毛で全身が隠れてる……まるでポケモンのモンジャラみたいだ……)

理髪師「じゃ、切りますね」チョキチョキ

毛むくじゃら「……」

20:2017/07/12(水) 22:11:08.034 ID:

がんがれ
21:2017/07/12(水) 22:13:57.054 ID:

ニョキニョキ…

理髪師「な、なんだこりゃ!? いくら切っても伸びてくる! どうしろと!?」チョキチョキ

毛むくじゃら「……」

理髪師「こうなったらバリカンで――」ビィィィン…

毛むくじゃら「バリカンやだ! バリカン嫌い! バリカン拒否!」イヤイヤ

理髪師「……」

理髪師「いいでしょう。だったらハサミで髪が伸びる速さより早く切るまで!!!」

毛むくじゃら「……!」キュンッ

理髪師「うおおおおおおおおおおっ!!!」

ジャキジャキ ジョキジョキ チョキチョキ…

22:2017/07/12(水) 22:17:20.771 ID:

少女「……ありがとう」

理髪師「うわっ! 髪を切り終えたら、中から可愛い少女が!」

理髪師(どうりで……そりゃ女の子ならバリカンは嫌がるわけだ……)

少女「私……髪の毛の精」

少女「私の髪、バリカン使わずに整えてくれた人、あなたがはじめて……」

理髪師「そりゃどうも」

少女「お願い、私をここに置いて! 恩返ししたい!」

理髪師「っていわれてもな、いきなり女の子を居候させるわけには……」

少女「私がいれば……あなたの髪、ずっと元気」

理髪師「ぜひ、いて下さい」

23:2017/07/12(水) 22:21:50.785 ID:

モヒカン「ヒャッハーッ! ありがとよ!」スタスタ…

理髪師「ふぅ~、今の客で今日は店じまいだな……」

少女「じゃあ今日、私が夕食作る」

理髪師「料理作れるの? だったら頼むよ」

少女「任せて」

24:2017/07/12(水) 22:24:39.848 ID:

少女「はい、イカスミスパゲティ」コトッ

理髪師「おっ、うまそう!」

少女「あとひじきと、刻みのりと、昆布盛り合わせと、食後のデザートは黒モンブラン……」

理髪師(なんか髪の毛みたいな料理ばっかだな……)

<終わり>

25:2017/07/12(水) 22:29:56.227 ID:

第四話『カリスマ美容師を切る』

理髪師「いらっしゃいませ」

美容師「フッ、ここがここらで一番の理髪店かい」キラキラ…

理髪師「……!」

理髪師(こいつ……たしか、カリスマ美容師!)

理髪師(イケメンで腕が一流なのはもちろんのこと、経営手腕にも長けているという……)

26:2017/07/12(水) 22:32:54.488 ID:

美容師「やはり、理髪店っていうのは、なんとも武骨で品がないねえ」

美容師「美容院と比べたら、月とスッポンもいいところだ」

美容師「きっと腕も大したことないんだろうね」

理髪師「……なんだと」

美容師「それじゃ……」スタスタ

理髪師「ちょ、待てよ!」

美容師「ん?」

理髪師「俺の腕前を見せてやる! そこに座れ! ――カリスマ美容師ッ!」

27:2017/07/12(水) 22:33:32.563 ID:

これは良スレ
28:2017/07/12(水) 22:36:13.505 ID:

ジャキジャキ ジョキジョキ ジョリジョリ ザバザバ…

理髪師「ハァ、ハァ……どうだ?」

美容師「ふむ、スッキリしたよ」

美容師「どうやら、キミは……ボクのライバルに相応しい人間のようだ」

理髪師「ふん、いつでも相手になってやるよ!」

美容師「楽しみにしているよ」

バタン…

29:2017/07/12(水) 22:38:08.323 ID:

少女「ねー、ねー」

理髪師「ん?」

少女「無料で散髪してあげるなんて、やさしいね」

理髪師「あーっ!!!」

理髪師(タダで散髪させる術も心得てるとは……! さすがカリスマ美容師……!)

<終わり>

30:2017/07/12(水) 22:39:36.323 ID:

少女ちゃん可愛い
31:2017/07/12(水) 22:41:56.512 ID:

第五話『王様を切る』

理髪師「いらっしゃいませ」

王様「……」ムスッ

理髪師(なんだこの、王冠かぶった仏頂面のおっさんは……)

王様「ワシは王である。ワシの髪を切ってもらおう」

兵士A「王はヘアスタイルにうるさい方なのだ」

兵士B「もし失敗したら承知せんぞ!」

理髪師「は、はい……」

理髪師(ここは日本なんだけど……どこの王様だ、この人……)

32:2017/07/12(水) 22:42:31.819 ID:

面白い
33:2017/07/12(水) 22:45:12.733 ID:

チョキチョキ…

理髪師「ん?」

理髪師「こ、これは……ッ!? まさか――」

ジョキジョキ…

王様「……」ピョコン

理髪師「ロバの耳!?」

王様「……どうやら見てしまったようだな」

理髪師「そりゃねえ……嫌でも目に入りますって」

35:2017/07/12(水) 22:49:12.213 ID:

王様「よいか! このことを他言すれば、おぬしの命はないぞ!」

兵士A「そうだそうだ!」

兵士B「この槍で太ももあたりを軽く刺し、じわじわと失血死させてくれるわ!」

理髪師「それが……その……」

理髪師「もうツイートしちゃいまして……」

王様「キサマァァァァァ!!!」

王様「ゆ、許さん! 死刑だ! この理髪師を死刑にせよ!!!」

兵士A「はっ!」ジャキッ

兵士B「ははっ!」ジャキッ

理髪師(ああ……俺の人生、これでオシマイか……!)

37:2017/07/12(水) 22:54:13.901 ID:

少女「あ、おじさん」

王様「ん?」ピョコッ

少女「ロバの耳、かわいい」

王様「……」ピョコピョコ

少女「さわってもいい?」

王様「いいぞ、いいぞ! ……よ、よし処刑やめ! 子供の前で血を流してはならーん!」

兵士A「はっ!」

兵士B「ははっ!」

少女「なでなで」ナデナデ

王様「くっ……生きててよかった!」

理髪師(王様がロリコンでよかった……!)

38:2017/07/12(水) 22:56:12.798 ID:

テレビ『極秘来日していたバーロ王国の国王が、ロバの耳を公式の場で初披露……』

理髪師「あの王様、ついに耳を隠すのをやめたみたいだ。表情がほがらかになってるよ」

少女「もっとさわりたかったな……」

<終わり>

39:2017/07/12(水) 23:00:16.220 ID:

第六話『10円ハゲを切る』

理髪師「いらっしゃいませ」

男「あのー……髪を全部切って下さい! 丸刈りにして下さい!」

理髪師「そりゃまた……いったいなぜ?」

男「ぼく……10円ハゲなんです!」

男「10円ハゲになってから、彼女とケンカするわ、仕事はミスるわ、で……ろくなことがないんです!」

理髪師「あー……(見事な円形脱毛症だ)」

少女「きっとストレスのせいだね」

40:2017/07/12(水) 23:01:57.251 ID:

面白い
41:2017/07/12(水) 23:03:00.429 ID:

ろくな客が来ないな
42:2017/07/12(水) 23:03:29.890 ID:

理髪師「なにも丸刈りにすることはありませんよ」

男「え!?」

理髪師「全て、この私にお任せ下さい」

理髪師「あなたの人生を変えてみせましょう」

少女(いったいどうする気なんだろう……)

43:2017/07/12(水) 23:06:54.857 ID:

二週間後――

理髪師「いらっしゃいませ」

男「お邪魔します!」

理髪師「おお、こないだの」

男「ありがとうございました!」

男「あなたに髪を切ってもらってから、なにもかもうまくいって……!」

男「彼女とは仲直りできたし、仕事もうまくいくし、ノーベル賞も取れたし」

男「これも全てあなたに10円ハゲをカットしてもらったおかげです!」

理髪師「いえいえ、お客様に喜んでいただくのは床屋の使命ですから」

少女「……」

44:2017/07/12(水) 23:09:14.597 ID:

少女「ねえ、あのお客さん、なんであんなに人生上向きになったの」

理髪師「簡単なことさ」

理髪師「10円ハゲの周囲を長方形に刈って、10000円ハゲにしたんだよ」

少女「なるほど!」

<終わり>

45:2017/07/12(水) 23:14:41.332 ID:

最終話『自分を切る』

理髪師「俺、床屋を開業してから、結構経
つけど」

理髪師「未だにたまに思うんだよな……もっと他の職業につけばよかったかも、って」

少女「ふうん……」

少女「たまには自分を見つめ直してみたら?」

理髪師「……そうするか」

少女「じゃ、私は出かけてくるね」

理髪師「行ってらっしゃい。ケガしないようにな」

少女「私、毛あるよ」

理髪師「ぶふっ!」

少女「アハハ、笑った笑った」

理髪師(この子、ギャグなんていうようになったのか……)

46:2017/07/12(水) 23:17:55.056 ID:

理髪師「鏡で自分を見つめ直してみるか……」

理髪師「んー……俺の髪の毛、ぼさぼさになってきたな」

理髪師「医者の不養生ならぬ、理髪師のボサボサ髪、ってやつか」

理髪師「よーし、たまには自分で自分の髪を切るか!」

チョキチョキ… ジョキジョキ…

理髪師(うーん……自分で自分の髪を切るって案外むずいな)

47:2017/07/12(水) 23:22:15.949 ID:

理髪師(とりあえず、髪の毛はなんとかなった。次は洗髪だ)

理髪師(よし、洗面台に顔を突っ込んで、頭を……)ワシャワシャ

理髪師(あれ、よく考えたら顔を突っ込む必要なくね? つい、お客にやるクセが……)ワシャワシャ

理髪師(しまった! シャンプーが目にッ!)

理髪師「目がッ! 目がァッ!!!」

理髪師(このままじゃ失明するッ! ここまでか……!)

48:2017/07/12(水) 23:24:42.771 ID:

ハゲ『諦めちゃダメだ!』

オタク『ぶひひひ、あなたはこんなところで終わる人じゃないはずだぁ~』

美容師『ふぅ、キミはこの程度なのかい?』

王様『失望させるでないわ!』

男『まだやれる!』

少女『頑張って……!』

理髪師(――みんなの声が聞こえる!?)

理髪師(そうだ……こんなところでくじけるわけにはいかない!)

理髪師(俺は大勢のお客さんに支えられて、今日までやってきたんだ!)

理髪師(諦めずに、水でシャンプーを洗い流せば……!)ジャババババ…

52:2017/07/12(水) 23:28:42.464 ID:

理髪師「よし……! なんとかなった!」

パチパチパチパチ…

ハゲ「おめでとう!」

オタク「ぶひひひ、感動したよ」

美容師「フッ、さすがはボクのライバルだ」

王様「うむ、よくやった。褒めてつかわす」

男「やったぁ!」

少女「よかった……!」

理髪師「うわっ!?」

理髪師(幻聴じゃなくて、本当に来てたのか! きっと少女ちゃんが連れてきてくれたんだな……)

理髪師(みんな……ありがとう!)

53:2017/07/12(水) 23:31:29.097 ID:

その夜――

少女「はい、黒豆のパーマ風盛り合わせ」コトッ

理髪師「いただきます」モグモグ…

理髪師「俺……今日、改めて分かったよ」

理髪師「自分は大勢のお客さんに支えられて生きてるって!」

理髪師「理髪師になってよかったって!」

少女「でしょう?」

理髪師「でもさ……」

54:2017/07/12(水) 23:36:32.552 ID:

理髪師「あんだけ大勢いたんなら、誰か手伝ってくれてもよかったんじゃないか?」

少女「やっぱり自力でやらなきゃ意味ないじゃない。そこが床屋の辛いとこや」

理髪師「ぶふっ!」

少女「アハハ、また笑ってくれた。でもね、たまには私にも手伝わせて」

理髪師「いいとも。明日からは床に落ちた髪の掃除から、やってもらうか」

少女「はいっ!」

<終わり>

55:2017/07/12(水) 23:40:18.124 ID:

勘当した
56:2017/07/12(水) 23:42:41.740 ID:

テンポ良くて面白かった
59:2017/07/12(水) 23:57:28.085 ID:

よくそんなくだらなくて面白いSS書けるな
元スレ:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1499862977/



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