2週間目を覚まさなかった話

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1
:2017/12/30(土)22:31:52 ID:

ホラーじゃないけど、してもいい?



2:2017/12/30(土)22:32:17 ID:

いいよ
3:2017/12/30(土)22:32:49 ID:

まずは中学3年生のとき、4日間目を覚まさなかったところから始まる
5:2017/12/30(土)22:34:05 ID:

中学3年生の夏

学年的にイジメが流行っていた。
暴力ではなく精神的にくるようなやつね。
だいたいローテーションで回ってくるから次は自分だろうなーと思ってたら案の定自分だった。

6:2017/12/30(土)22:37:14 ID:

陰口は当たり前で、正直関わるのが嫌だったため自分じゃない子がイジメられていた時は何もしなかった。だからそれがダメだったようで。
イジメられた側の人はもちろん助けてくれないし、イジメる側は手を貸さなかったことに腹を立ててイジメてきてた。
いよいよ自分の番になったとき、凄くストレスではあったがそのうち終わるで我慢してた。
8:2017/12/30(土)22:48:23 ID:

しかし一方で別のストレスもあった。
中間テストがあったのだけど、ちょっと点数が思わしくなかった。その点数を見た塾の教師が土日もやらないとダメだ!ということで私の土日はなくなった。
正直、自分が100悪いのだが唯一のストレスを和らげる日を2日も失うのは苦しかった。
また、私の中間テストの問題を別の学校の子にやらせてその子は高得点をとったため、土日を免れた。
不公平すぎないかと思ったがそこは耐えるしかなかった。
学校ではイジメられ、週に5日塾に行き、ストレスマックスのまま月曜がきた。
さらに進路は母が絶対に文系じゃないとダメ!と強制してきた。
私は理系に行きたいと懇願し、土下座をした。
すると理系に行くなら薬学部一択。さっさと医者あたりを捕まえて専業主婦になれ!と強制的に将来が決まってしまった。
自分は理工に行きたかったがもう我慢するしかなかった。さらに自分は妹がいるが、こいつは池沼。しかも重度の。
親戚からは将来面倒をみるのだろ?という当たり前のようなプレッシャーを与えられる羽目になった。
全てが自分にのしかかる事から逃げたいと常に思っていたとき、体に異変が起きた。
9:2017/12/30(土)22:52:03 ID:

常に眠い。どれだけ寝ても眠かった。
立ち上がるのもしんどくて、一度寝たら揺さぶられても起きなかった。
イジメてくる奴らも、あまりに起きないので机を蹴ってきたりもしたが、それでも起きなかった。
さらに意識はあるのに起き上がれなくなってしまった。上から何かに抑え込まれてるような感じで。
一度塾でそれが起きてしまいキレた先生に帰され、家に着くと死ぬほど怒られた。
10:2017/12/30(土)22:54:12 ID:

その日の夜、寝る前に号泣してしまった。
そしてもう目を覚ましたくないとさえ思った。
でも死ぬ勇気も家出をする知識もなく、とりあえず目を瞑った。また明日が来るんだ。そう思うと恐怖でいっぱいだった。
そして次の日、私は目を覚まさなかった。
12:2017/12/30(土)22:59:13 ID:

その時見た夢はハッキリ覚えてないけど、長さ的に一晩寝たくらいの長さだと思っていた。
夢の中でも起きたくない、学校に行きたくない、でもこれ以上失望されたら終わりだ…と思っていた。
思いながら長い長い道をずーーーっとあるいてた。
道は黄色っぽい道で、道の両隣は壁。ずーーっと壁。
歩いて歩いてするうちに反対側から誰か歩いてきた。
その人にぶつかった瞬間目を覚ました。
14:2017/12/30(土)23:02:11 ID:

目が覚めたら、そこは病院だった。
あまりにも起きないため緊急搬送されたっぽい。
でも体は健康だし、脳波も異常なし。
結局、原因不明のまま退院した。
退院を喜んでくれるかなと甘過ぎる考えを私はしていた。
結局、休んでいた分勉強が遅れたということで塾の日数はさらに増えた。イジメは終わっていた。正確にはみんな飽きていた。
15:2017/12/30(土)23:07:4
4 ID:

塾に行っても、いいなぁ4日間も寝れて!スッキリしただろ?と嫌味を教師に言われ、これ以上厄介ごとを増やすなと母に言われ、やっぱあのときもっと道を歩き続ければ…反対側から来た人に道をいっぱい譲ってればと後悔は凄く大きかった。
それと同時に、次また4日間、あるいはそれ以上寝てしまったら私は見捨てられるんだという恐怖が大きくなった。
夜寝るのも、昼にうたた寝をするのも怖くなった。
でも見捨てられたら楽なのかな?とか
いっそのこともう消えた方が楽なのかな?と毎日葛藤だった。
でも性根は負けず嫌いな自分なので、根性比べだ!と挑むことにした。
16:2017/12/30(土)23:12:36 ID:

そして4日も眠ることなく3年が経ち、私は大学受験を迎えた。
あの日から母は頑なに薬学部と言っていたが、私は物理に行きたいと言い張った。
そこで条件として、第一志望の物理を落ちたら薬学部に行くと言った。
結果は圧勝!物理も薬学も両方受かった。
そして約束として、物理に行くから!と言うと
母がお金は絶対出さない!と言ってきた。祖父母に電話をしても祝ってはくれなかった。考え直せとしか言われない。
さらに顔も見たことがない親戚からは、妹さんのこともあるのに何故医療の道に行かないのか?と電話口で責め立てられた。
会社帰りの父には、お前がどれだけ困っても就職の時斡旋なんかしてやらんからな!と突き放された。
17:2017/12/30(土)23:16:27 ID:

正直悲しくて悲しくて仕方がなかった。
誰にもおめでとうを言ってもらえない。自分は第一志望に受かったのに。せっかく国立に受かったのに。
涙が止まらなかった。
ツイッターを見たらお祝いパーティーをしてもらってたり、浪人が決まった子でも凄くポジティブな言葉を貰ったりしてたのに。
自分は受かったのに。誰にもおめでとうの一言をもらえなかった。今でも覚えてる。7年経った今でも。
晩ご飯も無言だった。結局その日発した言葉は受かったよ!と、おやすみの二言だけだった。
19:2017/12/30(土)23:19:52 ID:

ベッドに入っても寝付けなかった。涙が止まらなかった。
おめでとうと喜んでくれると信じてた自分が浅はかだった。何も期待してはいけないと4日間目覚めなかったとき分かったことを忘れていた。
きっと薬学部に行くと言えば手のひら返したようになるのだろうと思い、明日になったら薬学部に行くと言おう…そう思って目を閉じた。

そこから私は2週間、目を覚まさなかった。

21:2017/12/30(土)23:24:20 ID:

目を閉じたら、自分はTシャツとジーパンで立ちすくんでいた。
一面芝生の野原に立っていた。花は一輪も咲いてない、ただ一面緑の野原だった。
地平線の向こうには砂漠の山があって、その山の向こうから微かに波の音が聞こえた。
そこがどこなのか分からなかったけど、なぜか海を目指さないといけない気がした。
本当に広くて、山まで何十キロとあるんだろうなと思ったけど、気づくと歩き始めていた。裸足で。
どんどん歩いて、どんどん歩いて、そのうち夜になると思った。でもいつまで経っても夜にならない。太陽は同じ位置だった。
そして不思議なことに一切疲れなかった。休もうとも寝ようとも空腹も何も感じない。
ただ海に行くためだけに歩き続けた。
23:2017/12/30(土)23:28:16 ID:

そしてとうとう芝生の終わりがきた。急に次の一歩から砂地になった。
それと同時に周りが暗くなり、空一面星空だった。
生まれて初めてそんな沢山の星を見た。
あまりにも綺麗で立ち止まって見たかったが、足が勝手に進んでいた。
砂漠を一歩、また一歩と進んでいった。
今回も同じ。何時間経っても夜は終わらなかった。
星はずっと綺麗で、月もずっと明るかった。砂漠の山はとても高く、足を砂にとられ続けた。
しかしそんな状況でも、眠気や空腹は感じなかった。
ただ海を求めてずっと歩き続けた。
25:2017/12/30(土)23:32:13 ID:

いくつ砂漠の山を越えたか分からない。
でもある山のてっぺんに立った時、初めて海を見た。
海は地平線までずっと見渡せたし、何より山のしたを見ると何か黒い点々が砂の上にあった。
そこを目指して行くことにして、私は最後の砂漠の山をゆっくり降りた。
一歩一歩降りていくたびに、空は少しずつそれに合わせて明るくなってきた。
地平線からは太陽が出始めて、月はいつのまにか消えていた。
太陽の全体が見えるようになった頃、空は青ではなく赤に近いオレンジ色をしていた。それと同時に私は山を下りきっていた。
26:2017/12/30(土)23:37:14 I
D:

山を下りて黒い点々の正体を確かめるため、海岸に近づいた。
すると、点々に見えていたものは人間だった。
人と人は間隔をあけて立っていた。でも不思議なことに、誰も喋っていなかった。みんな海の方を見て、立っていた。
話しかける勇気もなく、ただ一緒に海の方を見て立つことにした。
周りを見渡しても、誰一人知ってる人はいなかった。
また、よく見ると全員、泣いていた。
泣いた涙は全て海へ流れていた。私が海だと思っていたものは海岸に立つ人たちの流した涙だった。
さらによく見ると、泣いている人たちは足元の砂に少しずつ吸い込まれていっていた。
ジワジワ吸い込まれ、長い時間をかけて姿を消していった。
27:2017/12/30(土)23:42:40 ID:

人が1人消えるたび、誰かが砂漠からやってきた。
だから人が減ることはなかった。常に一定の数いた。
私もいつか吸い込まれるのか。そう思い、海に目をやると涙が止まらなくなってきた。
涙は私の目から落ちると、砂に細い道を作り海に流れていった。
私はなんとなく今時分が置かれている状況を悲しんでいた。
砂に吸い込まれる恐怖より、自分で自分の夢を断つ決断をしようとしていたことが悲しくて仕方がなかった。
そして涙を流すたび、私は少しずつ砂に吸い込まれていった。
ゆっくりゆっくり、怖いとは不思議と思わなかった。
33:2017/12/30(土)23:57:13 ID:

いよいよ腰まで砂に吸い込まれたとき、そもそも何故自分はここにいるのかを考えた。
自殺をしたわけじゃない。薬を飲んだわけでもない。このリアルな感じと、もう戻れないような感覚。
道を歩いている時と同じ。
死ぬならこのまま吸い込まれたらいいのか。それともあがけばいいのか。
今現実に戻っても自分の夢を自分で断つ決断をしてしまっている。
あれだけ憧れた物理を学ぶということも、全て憧れで終わらせるんだ。
吸い込まれる方が幸せかもしれないなと思った。
すると急に今まで穏やかだった波が急に荒々しくなった。
周りを見渡すと、ある女性が目に入った。
その人は周りと違い、桁違いの量の涙を流していた。
その涙は凄い勢いで海に流れ込み、波を荒くしていた。
36:2017/12/31(日)00:08:01 ID:

波はどんどん荒くなり、穏やかなネイビーだった海はどす黒い色になった。
女の人の涙は止まるどころか、勢いを増して、さらに波を高か高くしていた。
そしてとうとう波は巨大な津波になって海岸全てを飲み込んだ。
波に飲み込まれた私は、砂から抜けた。
息継ぎをしようと上を見ると、水面ははるか上だった。
そして波は荒々しさを消し、穏やかになっていた。
穏やかな水面がキラキラ光るのが綺麗すぎて私は怖くなった。
水面から逃げたいと思った。なんでかは分からない。
さっきまで浜辺だったところははるか下になっていた。海底に行かないとと思った。
息継ぎをせず、そのまま海底を目指し、泳いだ。
海は自分一人だけだった。
さっきまで浜辺で泣いていた人達も、もちろん波を起こした女の人の姿もない。
ただ海底に向かって泳いでいる時、海面に大きな船底が見えた。
直感でみんなあれに乗っていると思った。
けど船に追いつく気も、乗る気もなくて、ただ海底を目指した。
そして海底に着いた時、海底に丸い扉があった。
その扉を開けると暗闇が広がっていた。そしてその扉に入った瞬間、私は何かに引っ張られた。
思いっきり強い力で引っ張られ、そのまま気絶した。
37:2017/12/31(日)00:12:25 ID:

そして何か衝撃のようなもので目が覚めた。
目を開けると病院のベッドの上だった。
看護師さんが2週間眠っていたと教えてくれた。
私は泣いた。叫びながら泣いた。
きっと大学の入学金はもう受付が終わってるだろうとか、やっぱりあのとき、船に乗っていればとか。
なんの根拠もない後悔で叫びながら泣き続けた。
38:2017/12/31(日)00:15:13 ID:

結果的には、私は無事第一志望に行くことができた。
気を失っている間、父方の祖母が激怒して入学金を振り込むように言ってくれたらしい。
このとき以来、私は何週間もぶっ続けで寝ていない。
無事に今年大学院を卒業し、就職した。

これで私の2週間寝続けた話はおしまいです!質問でもなんでもどうぞ!

39:2017/12/31(日)00:16:12 ID:

おばあちゃんが1人だけ味方だったってことか良かったな
40:2017/12/31(日)00:17:55 ID:

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gt;>39

おめでとうと言ってくれてたらしいが、母が薬学行かせるために私に伝えなかったみたいや
41:2017/12/31(日)00:18:34 ID:

>>40
両親となんでそんなに仲が悪いの?
43:2017/12/31(日)00:19:53 ID:

>>41
分からんね…なんか気づいたらって感じだった
46:2017/12/31(日)00:22:20 ID:

>>43
今は?
48:2017/12/31(日)00:23:56 ID:

>>46
今も事務的なことでしか会話ないな…正直妹押し付けられたら溜まったもんじゃないから関わらないようにしてる
52:2017/12/31(日)00:29:14 ID:

>>48
授業料とかどうしてんの?
54:2017/12/31(日)00:32:36 ID:

>>52
バイトしまくって奨学金借りてなんとか6年やりくりしたよ!
57:2017/12/31(日)00:35:29 ID:

>>54
もう今は社会人なのか
60:2017/12/31(日)00:37:57 ID:

>>57
社会人一年目です
42:2017/12/31(日)00:18:50 ID:

これは創作?おばあちゃんからいきなりハッピーエンドに切り替わる勢いがなんだかなあ
45:2017/12/31(日)00:21:32 ID:

>>42
今書いても創作みたいな内容だけど、全て事実。
おばあちゃんも7月に亡くなってしまったけどね。感謝しきれないよ
44:2017/12/31(日)00:19:57 ID:

嵐になるほどの涙を流した女の人の顔はどんな顔だった?
話の流れからすると1のばあちゃんが姿を変えたものか
47:2017/12/31(日)00:23:09 ID:

>>44
顔はみんな一緒。なんか目がちょっと半開きで肌がグレーなの。コナンの犯人みたいな感じ。男女はなんで判断がついたのかは分からないけど、直感だったのかも。
49:2017/12/31(日)00:23:57 ID:

なんでばあちゃんに怒られたくらいでお母さんは娘を薬学に進学させるのをあきらめたんや?
50:2017/12/31(日)00:25:12 ID:

>>49
確かに私も気になるところ!でもばあちゃんはもういないし、母ともロクに口をきかないから、ばあちゃんのお手柄ってことで
51:2017/12/31(日)00:28:32 ID:

妹が池沼でばあちゃんのみ味方 嵐のような涙を流す女 創作ではないんだろうけど
53:2017/12/31(日)00:31:32 ID:

>>51
創作じゃないよ!創作みたいな内容だけど!7年前の出来事
55:2017/12/31(日)00:33:17 ID:

気絶してる間に見た風景は今となったらどんな暗示だったと思う?
58:2017/12/31(日)00:35:44 ID:

>>55
野原に砂漠に海だよね…困難困難アンド困難って感じだったのかな?どこかで挫けたら結局そのまま目を覚まさなかったのかもしれないし。
56:2017/12/31(日)00:34:31 ID:

そこまでして物理行きたかったのに博士行かなかったのか
59:2017/12/31(日)00:37:45 ID:

>>56
一生物理で食べていく才能はなかった!
けど興味ある分野の会社に行けて満足してるよ!
元スレ:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1514640712/



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